今までの当ブログの内容というのは基礎的なことであったり、一般論のようなものが多かったのですが、今回は実践的(実戦的)な問題について説明したいと思います。
そこで登場するのが「V字回復」と言われるものなのですが、V字回復というのは文字通りVの字のように回復することを言います。
具体的には、
赤線で示したような動きをV字回復と言い、画面左上の黄線で示したような動きを逆V字回復、または、「A」とか「A回復」と言います。
ですが、「A」の文字の横棒に該当するものが存在せず、私は一度も「A」という表現を用いたことがないので逆V字回復で統一したいと思います。
さて、V字(逆V字)回復というのは決して珍しい動きではなく、頻繁に見られる動きです。
頻繁に見られる動きなのであればV字回復だけに絞ってどのようにトレードすれば良いのか考えても良いかと思うのですが、意外とV字回復に関して戦略的なことを書かれている方は少ないです。
何故少ないのかはわかりませんが、あまりにも頻繁に見られる動きなのでV字回復した後にこうなれば売るとか買うとかのパターンが複雑すぎるとか、V字回復後の動きに一貫性がない等の理由で敬遠されているのではと推測しています。
とは言え、頻繁に見られる動きに対して自分なりのエントリーパターン等を作り上げることができれば強力な武器になるのではと考えています。
では、実際のチャートを見ながら問題形式で一緒に考えてみましょう!
上はドル円1分足のチャートですが、画面右端でV字回復しています。
V字回復した次の足で、
1.売りたいですか?
2.買いたいですか?
3.様子見しますか?
少し考えてみてください。
出来上がったチャートだけを見て「ここでエントリー!」などということをされている方からすると、チャートの右側が見えないことが如何に不安かわかるかと思うのですが、チャートの右側が見えない状態で考えないとあまり力は付かないと思いますよ!
では、順番に見ていきましょう!
まず1.の売るに関してですが、
下落する起点となった黄線は僅かではありますが左側のオレンジ丸ですでに上抜けています。
更には右側のオレンジ丸というのは左側のオレンジ丸よりもほんのちょっとですが上にあります。
黄線を上抜け、更には微妙に高値を切り上げている。
このような状態で売りたいですか?
逆行すればすぐに損切りすることができるのであればここで売ることが100%間違いとは言えませんし、売って激しく下げる可能性も当然あります。
あるのですが、緑線ですでに3回止められているというのは見えている訳ですので、売ったとしても第一利確目標である緑線までの値幅はあまりありません。
値幅があまりないことを承知の上で、しかも逆行したら即切れるということであればここで売っても問題はないでしょう。
でも、私だったら100億パーセント売りませんw
その理由は、緑線までの値幅があまりないというのはそれほど大きな問題ではないのですが、逆行したら即切らないといけないというのは忙しいです。
何故即切らないといけないかと言えば、チャートの左側を見ても損切りできるポイントが見当たりません。
ですので、逆行したら即切るということができなければ激しく上に行ってしまう可能性があるからです。
10秒ほどよそ見をしている間に含み損が30pipsとかになってたら嫌ですよね。
嫌だったら根拠があるところで損切りできるようなポイントでエントリーすべきかと思います。
次に、2.の買うについてですが、
1.で説明したように現在は黄線を僅かではありますが上抜け、しかも2ヵ所のオレンジ丸は右の方が僅かではありますが高い位置にあります。
つまり、高値を切り上げているので買っても良さそうな気がします。
買っても良さそうなのですが、買いの基本は何ですか?
そう、押し目買いですよね。
今回の位置で買うということは上昇している途中で買うことになり、押し目買いではありません。
ここで買って一瞬で上に伸びる可能性もあるのですが、上に行かなかったら何が起こるでしょうか?
緑線以降に買った人が「上に伸びないんだったら一旦決済しておこう!」と考えませんか?
買ってた人が一斉に決済すれば下げるでしょうし、この下げに乗じて新規の売り注文がどんどん入れば緑線くらいは簡単に下抜くかもしれません。
このような状況が想定されるのですが、ここで買った場合の損切りはどこにするのでしょうか?
恐らく、ここで買うということを考えた方はどこで損切りするのか決められていないかと思います。
緑線のちょっと下に損切り設定するとなると少々損切り幅が広いので、売りの時同様、逆行したら即切るということができないと損切り幅がどんどん広くなってしまう可能性があります。
買って一気に上昇する可能性はあるけど、逆行した場合の対応が難しいです。
逆行したら即切るというのは訓練しないとなかなかできないですし、即切るつもりがズルズルと放置してしまい、取り返しのつかないことに・・・
なんていうことを私は飽きるほど経験していますw
こんなことにならないように、V字回復に限らずどんなトレードでも事前に損切りポイントを決めておく必要があります。
最後に3.の様子見するに関してですが、
1.の売るに関しては黄線を上抜け、オレンジ丸が微妙に高値を切り上げているので売りにくいという問題があり、2.の買うに関しては上昇途中で買うことになってしまい押し目買いではありません。
となると、V字回復後はちょっと様子見したら良いのでは?ということになりませんか?
売れる理由も買える理由もあるけど、逆行したら即切らなければならないという問題点があります。
売れる理由というのは戻ってきたからであり、買える理由というのは直近の勢いが上だからです。
どちらにも言い分がある訳ですので、どちらかの言い分が通用しなくなる状態まで待てば良いのではというのがV字回復の私なりの結論となります。
その後の動きを見てみましょう!
右側のオレンジ丸以降はピンク丸内のように上にも下にも行けない状態になりました。
ここで何が起こっているかと言えば、上で説明した通り売れる理由も買える理由もあるので売ったり買ったりした人がいるかと思うのですが、この両者の注文数に差があまりないために動けなくなった、もしくは、ここでエントリーしようと考える人が極端に減ったので動きにくくなったと考えられます。
どちらが正解かはわかりませんし、どちらも不正解かもしれませんが、自分だったらこう考えるということをあらゆる場面で考えていくことが重要かと思います。
で、どこでエントリーするかですが、右側のオレンジ丸を上抜けた瞬間の緑矢印辺りが妥当かと思います。
個人的に抜けた瞬間に買うのは押し目買いではないのであまりやらないのですが、今回の場合ですとピンク丸で揉んだという事実があります。
このピンク丸内で売った人も当然いるかと思うのですが、この売った人はどうなれば損切りしてくるでしょうか?
これは上で説明した通りなのですが、チャートの左側に壁がなく、ピンク丸を上抜けると一気に上昇してしまう可能性があります。
ですので、ピンク丸を上抜けた瞬間くらいに損切りしてくるでしょうから、この動きに乗じて買えば一瞬で伸びる可能性があります。
今回の場合は一気に伸びるという感じではなかったのですが、5分足や15分足を見ればチャートの左側に下落の起点などがあったのかもしれません。
もう1パターン説明しておきます。
今回はピンク丸内のようにあまり値幅のない動きとなりましたが、V字回復後は紫線で示したような動きになることが多々あります。
今回は黄線を上抜けてしまっていたので売りたいと考える人が少なかったからかあまり下げませんでしたが、
緑線で示したような下落の流れで来ていれば紫線で示したように一旦下げることが多いです。(あくまでも多いだけであり、こうならないことも多々あります)
これは、下落の流れで来ているのでV字回復したと言っても戻り売りを考える人が多少なりともいるからこのような動きになるかと思います。
戻り売りをするのですが、V字回復したということを重視する人も多いので、戻り売りの勢いが続かず上昇し始めると、2ヵ所の赤丸で示したように安値を切り上げたことになります。
この事実によって「そろそろ上だ!」ということで紫矢印辺りから買ってくる人が多くなるということになります。
ただし、紫矢印で買っても必ずしも上に行くとは限らず、右側のオレンジ丸の位置である白線辺りから再度売りが入ってきて売りの勢いの方が勝つということも当然あります。
紫矢印から白線までの値幅があまりないのであればオレンジ矢印辺りから買うという方法もあるのですが、紫矢印辺りで買うということは2ヵ所の赤丸で安値を切り上げたというエントリーの根拠ができた訳ですから、逆行すれば紫×辺りで僅か数pipsの損切りが可能となります。
紫矢印とオレンジ矢印、どちらでエントリーするのが良いのか一概には言えないのですが、利確目標までの値幅や損切り幅などを考慮しながらその時、その時考えていく必要があるかと思います。
当ブログで過去最高の文字数となったのですが、V字回復に関して説明するとなるとどうしても長くなってしまいます。
最後に注意点ですが、V字回復したからと言って必ずその後上昇するとは限りませんし、逆V字回復後も必ず下げる訳ではありません。
重要なのはV字回復したという事実だけではなく、上位足のトレンドやチャートの左側との兼ね合い(V字回復したけど、すぐ上に下落の起点などがないか等々)を複合的に考えなければなりません。
この考えるというのは私がどれだけ説明しようとも体得できるものではなく、ご自身でお考え頂く必要があります。
どのように考えるのかというヒントはいくらでも提供できますが、それ以上のことは私にはできません。
結局のところ、最終的にはFXというのは自力で何とかするしかないのですが、何とかするための情報は十分過ぎるくらい手に入れているけど、そこから先の行動ができていない方が多いのではないかと思います。
同じようなことばかり申し上げて申し訳ないのですが、インプットよりもアウトプットを重視しないとFXの評論家みたいになっちゃいますよ!
評論家ではなく勝ちトレーダーになってください!