過去に色んなパターンの練習問題を出題しているのですが、今回新たに「良いエントリーポイントを探す練習問題」というのをやってみたいと思います。
私が練習問題をやっている一番の目的は読者の皆さんにお考え頂きたいからです。
どんどん考えることでどんどんチャートを読み取る力が向上したり、トレーダーの心理を読み取ることができるようになるかと思うのですが、圧倒的に考える時間が少ないから私が色々と書いていることを表面的にしか理解されていないのだと思います。
って、理解されているかどうかアンケートを取った訳ではないのですが、これはあくまでも私の経験談です。
ブログで何度も何度も書いてきたことをしっかり理解されていれば「ここでのエントリーはないのにな~」なんてことが過去にたくさんあったので表面的にと表現しております。
前置きが長くなると飽きられそうなので問題です!
上はドル円1分足のチャートですが、①~④まで番号をふっています。
この①~④の中で買うとしたらどこが一番良いと思いますか?
一番良いと思う番号をお選び頂きたいのですが、選ばなかった番号については何が問題なのかをお考えください。
ちなみに、140.5の赤線は上位足の下落の起点で重要なラインだと考えられます。
お考え頂けたでしょうか?
初回ということでかなり簡単な問題にしたつもりですが、初心者の方であれば何をどう考えて良いのかすらわからなかったかもしれません。
それでも自分なりに考えてみるということが重要ですので、わからないなりに考えてみてください。
では、私なりの解説をしたいと思います。
まず①に関してですが、2ヵ所の緑丸を見ると同じ高さで止められたので①で買うのは特に問題なさそうに思えます。
思えるのですが、これは買うことだけを考えた場合のことであって、売る立場の人のことを考えられたでしょうか?
売る立場で考えると黄線で示したように高値を切り下げていますので、黄矢印辺りから売ろうと思えば売れますし、実際に売った人がいたので黄矢印以降少し下げています。
このように売る立場の人のことを考えれば①で買いたいと思いますか?
①で買ったとしても直近高値の黄丸までの値幅はスプレッドを考慮すれば5pips程度です。
5pips程度しか獲れないかもしれないのに、黄矢印辺りから売り注文がたくさん入って緑点線のような動きになれば損切りは5pipsでは済まないかもしれません。
結果だけを見れば①で買ってずっと放置していれば大きく獲れたのですが、上で書いたようなことを全く理解せず入ったのであれば大きく獲れたのは偶然であり、緑点線で示したような動きになった時に迷うことなく損切りができなければ損小利大とはほぼ遠いトレードを繰り返す可能性があります。
①で買って伸びないと思った黄矢印辺りで迷うことなく微益や微損程度で逃げることができるのあれば①で買うのが必ずしも問題とは言えませんが、上で書いたようなことを事前に考えていないと逃げるのは困難かと思います。
続いて②に関してですが、
②で買える根拠というのはオレンジ枠で軽く揉み合ったことかと思います。
この揉み合いを上抜けたので買うというのは特に問題なさそうに思えるのですが、下落の起点であるオレンジ線までの値幅が無さ過ぎます。
スプレッドを考慮するとオレンジ線までに5pipsもなく、5pipsもないオレンジ線で反発して大きく下げたらどうするのでしょうか?
すぐに損切りできるでしょうか?
できるのであれば②で買うことが問題とは必ずしも言えないのですが、オレンジ枠の上限を抜けて「ここだ!」という感じで買った人が逆行した際に迷うことなく損切りできるとは考えにくいです。
続いて③に関してですが、
③で買える根拠というのは下落の起点であるオレンジ線を上抜けたことと、2ヵ所のオレンジ丸の上ヒゲを上抜けたことかと思います。
私はこういうところでエントリーすることが結構あるのですが、それはチャートの左側次第です。
問題文にわざわざ太字で、「140.5の赤線は上位足の下落の起点で重要なラインだと考えられます。」と書いたのですが、③で買うということは問題文の太字など全く気にされていないか、この重要なラインを上抜ける前提で買われたように思われます。
③で買った瞬間くらいに日銀の発表があったようなので③で買うのが大正解ということになるのですが、これは結果論であって、発表がなければオレンジ点線で示したように大きく下げた可能性も十分あります。
出来上がったチャートを見るとどうしても結果論的な考え方になるのは仕方ないかと思うのですが、チャートの右側が見えない前提で考えられることをオススメします。
最後に④ですが、
④で買える根拠というは140.5の重要なラインを上抜けたことが大きいかと思います。
140.5を上抜けることで一気にグ~んと上昇しますが、これは140.5より下で売ってた人の損切りと新規の買い注文が一斉に入ったと考えられます。
このような動きは珍しくないのですが、問題はここからです。
140.5を上抜けてグ~んと上に走るのですが、抜けたと思わせてピンク点線のような動き(所謂ダマしというやつ)になることも決して珍しくはありません。
ピンク丸で2本上ヒゲを出しているのですが、この2本の上ヒゲの後に下げた可能性もあるのですが、そうはならずに2本の上ヒゲを抜けた瞬間くらいにエントリーしたのが④です。
2本の上ヒゲを出したということは「ここから上には行かせないよ」という意思表示とも思えるのですが、それよりもグ~んと伸びたので買ってた人が利確したと考えた方が良いでしょう。
2本目の上ヒゲで1本目を明確に上抜けることができなかったので、買ってた人が更に決済したり新規の売り注文も入ることで上ヒゲの後にそこそこ下げます。
下げるのですが、140.5のキリ番を上抜けているので積極的に売ろうと考える人が少なくなり、2本の上ヒゲを上抜けることで何が起こるでしょうか?
グ~んと上昇した直後に決済した人は改めて買うことができますし、140.5を上抜けてもまだ売りポジションを持っていた人もダマしの可能性が極めて低くなったので諦めて損切りしてくるでしょう。
ということで、新規の売り注文が極めて入りにくい状況となり、新規の買い注文と売ってた人の決済=買いの天国になるの④で買っても最大で100pipsちょっとの含み益となりました。
結論としては①~③まではそれぞれ大きな問題点がありますが、④に関しては一番問題点が少ないので個人的には④が一番良いエントリーポイントだと考えます。
ですが、④に問題点が全くないかと言われるとそうでもなく、④で買った直後に本格的なダマしの動きになる可能性は否定できないですし、④で買うということは押しを待てていないということになり、逆行した場合に迷うことなく切るということができないととんでもない損切り幅になる可能性があります。
押しを待てていないのにエントリーできるパターンについてはこちらの記事をご覧ください。
最後に、今回の練習問題の裏テーマは「そんなに慌てなくても良いですよ」であったり、「頭と尻尾はくれてやれ」でした。
どういうことかと言いますと、何かしらの問題点がある①~③で慌ててエントリーしなくても④で入っても100pips以上獲ることが可能でした。
140.5より下というのは尻尾の部分であり、美味しい胴体の部分は140.5よりも上だったという訳です。
なかなか勝てない方が過去の負けトレード記録を見直して頂くと頭や尻尾の部分でトレードされていることが多いかと思います。
胴体の部分で負けるというのはエントリーのタイミングを改善することで比較的短時間で修正できるかと思うのですが、主戦場が頭や尻尾、それにあまり値幅のない揉み合いの中だったりすると獲れてもちょっとですし、行ったり来たりで忙しく改善の余地はあまりありません。
結局のところ、なかなか勝てない方ほど難しいところでトレードされている訳であり、このような自覚がないからあまり成長が感じられないのだと思います。
ちなみに今現在は赤枠の部分が頭です。
かなり大きな頭なのでこの中でトレードすることは可能なのですが、黄枠で囲ったようにどんどん値幅がなくなってきています。
この黄枠のようなところを個人的に「どうでもいいゾーン」と呼んでいるのですが、こういうところではトレードする気が起こりません。
黄枠の下限辺りまで下げてくれれば買いを考えなくもないのですが、上の方にいる限り私の出番はないですw
このようにトレードするところとしないところを明確にするというのが安定的に勝てるようになるための第一歩かと思います。
かなりの長文となりましたが、またネタになりそうなところがあれば練習問題として出題してみたいと思います!